恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
それにしても、この先三時間、長くて四時間。
車の中という、狭い空間で東屋さんと二人なんて。
……間が持つかな。
ずっとまた不機嫌でいられたら息が詰まりそうなので、エアコンじゃなく窓を開けてせめて空気の入れ替えを、と思ったのだけど。
「わー、すごい両サイド山ばっかり! 山のドライブって気持ちいいですねえ」
「ドライブじゃなくて出張だから。さっきから何度も言ってるけど」
「わかってますけど着くまではドライブじゃないですか。カタログ見て勉強しろとか言わないでくださいよ、酔いますよ間違いなく」
「吐かれるのはごめんだからな」
「見て見て、ここのサービスエリアのレストランがすごい人気らしいです!」
「ガイドマップは見れるのかよ!」
意外と楽しかった。
「お昼どこにしますか?」
「……そこのレストランに行きたいんだろ」
東屋さんは、ちょっと疲れた顔してたけど。
「……ほんと、よく喋る」
「すみません、つい緊張の末に」
「嘘つけ。その調子で田倉さんの相手頼むな」
「はい、えっ?!」
あれっ?!
手癖が悪い代表みたいな人のことじゃなかった?!