恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】
「うーわー、腕ほっそ」
「えっ?! ちょ、」
徐に二の腕を掴まれ、むにむにと揉まれ、さすがに戸惑って少し後ずさる。
いや、腕だし。
大袈裟に拒否するほどでもないんだけど、なんか妙にボディタッチがというか距離が息苦しいくらいに近いというか。
「ほら見て見て、俺の腕」
「わ、わー、すごいですね」
や、まじですごいむっきむきだけども!
どうやら触って私にもむにむにしてほしいのか、目の前にずいっと押し出されてくる力瘤。
これが友達とかなら喜んで触らせてもらうとこだけど、今日会ったばかりの人の腕はさすがに気軽に触れない。
座敷に入って、できるだけ東屋さんの方は見ないようにしてた。
酔っ払いの男性の相手くらい、なんでもないと思ってたし、この程度のことで頼るようなことはしたくなかった。
けど、さすがにちょっと。
疲労感満タンになってきたので、ちょっと癒しが欲しかっただけ。
つい、こっそりと東屋さんが座っている方を盗み見た。