社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜


「逃げ切ったーー!」

ふぅっ、と大きく息を吐いてソファーの背もたれに上半身を預けた。

私の質問に真樹の返答が返ってこなかったことは気にせずゲームに集中すると、どうしたことか見事高ポイントをゲットして逃げ切ることができた。そんな私と真樹の成績が、目の前のテレビ画面には大きく表示されている。

このゲームをはじめて以来初めて見る高得点が嬉しくて、テレビ画面をまじまじとみていると。

「河合さんは、これじゃあ物足りなかったってことか」

と、さっきの質問に返事もできないくらい真剣にゲームしていたはずの真樹がやっと声を発した。


「何言ってんのよ!全然、物足りなくないってば!こんなにブラッドポイント貰ったの初めてだし、それに……って、え、真樹……?」

だんだんと私に迫り寄ってくる真樹に、私は条件反射のように後ずさった。しかし、ソファーの隅まで後ずさったところで私は逃げ場を失ってしまう。

後ろにこれ以上下がれば頭から床に落下してしまうし、ソファーから降りようにも真樹の腕が私の左右にあって逃げられない。


「ま、待ってよ!真樹! 何? 突然どうしたの?」

まるで私を襲うような体勢になっている真樹に動揺を隠せず、また更に迫ってきそうな真樹の胸元を両手で必死に押さえた。

< 100 / 122 >

この作品をシェア

pagetop