社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜
幸運にも退社時刻まで真樹と話すことはなく、定時退社をした私は一人自宅まで帰ってきた。
帰ってきて早速二人分の夕食を作り終えた私は、夕食にラップをかけるとすぐに自分の部屋へと移動。そして、部屋に入るなりすぐにテレビとゲーム本体の電源を入れ、リモコンを握りしめた。
「ムカつく、ムカつく、ムカつく」
周りにはあまり公表していないけれど、根っからのゲームオタクな私。
私は、私にとって〝酸素〟と言っても過言ではないゲームをしながら、今日の真樹との出来事を思い出し、その苛立ちをゲームにぶつけてやった。
一人で苛立ちを言葉にして、ストレスを発散するかのように没頭してゲームをプレイする。すると。
「はは。まだ昼間のこと怒ってる」
私の背後から、真樹の声が聞こえた。
ゲームの中断ボタンを押して後ろを振り返る。そこにはやはり真樹がいて、彼は少し呆れたように笑っていた。
「怒ってるみたいだけど、ご飯は待っててくれてたんだ?」
むすっとして何も返事を返さないでいた私に、「ありがと」なんて付け足して笑う真樹。
同期で同い年。だけど、私よりもずっと大人な彼のこういうところ。こういうところが、自分の子供っぽさが際立ってしまうから嫌いだ。