社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜
彼がお風呂から上がると、続いて私が入る。最初こそ、恋人でもなんでもない彼とこんな風にしてお風呂を共有するのはどうかと思ったものの、今では何も思わなくなってしまった。
私はもちろん、真樹も。お互いを異性として特別な意識はしていない。それに、何よりもゲームの方が大事。ゲームをより良い環境ですることができる代償だと思えば大したことはない。
「河合さん、オンラインしようよ」
私がお風呂から上がり、リビングに出る。すると、部屋の扉を開けて顔を出した真樹がスマートフォンを片手に笑った。
「うん、する。ちょっと待って」
私はすかさず部屋に戻りスマートフォンを手に取る。そして、真樹の部屋に入るとゲームアプリを起動し、いつものように二人オンラインゲームを始めた。
「どこで着地する?」
最近流行り出した、スマートフォンのアプリゲーム。ある島に100人の人が着陸し、最後の一人になるまで戦うというものだ。
4人までのグループを組めるため、私は今日も真樹とペアを組んでいる。
「ここにしよう。作戦はBで」
「ん、分かった」
いつも作戦を立てて真剣にゲームに取り組む私と真樹。彼の言葉にすぐに頷いた私は、島に上陸すると慣れた手つきで画面操作を始めた。