社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜
『そういえば、アレ、どうなった?』
「あー、あれね。それが、まだ『彼氏いないなら俺と付き合おうよ』ってしつこくて。あんたと付き合う暇があるならゲームやってるってのよ」
『いや、本当それな。恋愛に時間費やしてるくらいならレベル上げに費やした方が有意義だと思うわ』
私がまきろんと会おうと思った理由。その一つは、もちろん、ゲーム友達であること。人間、趣味が合う人とは友達になりたいと思うものだ。
もう一つの理由が、価値観が合うということ。電話で話していると、私と彼は、びっくりするほど価値観が合った。
例えば、優先順位の一番にゲームがあること。何よりもゲームをする事を優先したいという気持ちをこんなにも共感してくれる人はそういない。
「はあ。私、あんたのそういうところだけは本当に好きだわ」
『そういうところだけか』
「そういうところだけね」
私たちはいつも通りくだらない話をダラダラと続けた。11時を過ぎると、あくび混じりに『おやすみ』と言った彼が通話を切った。
私は、テレビの電源を消すと、明日の準備も何もしないままで布団に転がりゆっくり瞼を閉じた。