社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜
「あんた、どういうつもりよ」
自宅に帰宅すると、私よりも先に帰宅していたらしい真樹の背中に向かって、私は早速怒りをぶつけた。
リビングのソファーに腰をかけ、テレビゲームに没頭していたらしい真樹は、〝帰ってきてたんだ〟と言わんばかりの間抜けな顔で「何が?」と首を傾げた。
「何が? じゃないでしょ。来週末の飲み会、どうして参加するなんて答えたのよ」
あからさまに怒っているという態度でそう問いかけた私に、彼はバツの悪そうな表情を浮かべる。
「あー、そのことか」
「どういうことよ。あんたが参加するせいで私まで参加しなきゃいけなくなっちゃったじゃない。来週末は、ビースリーの大型アップデートがあるのに!」
だんっ、と右足をフローリングに踏みつける。
来週末は、私が真剣に取り組んでいるスマホゲームの大型アップデートがあるとSNS上で予測されている。恐らく、いや、間違いなくアップデートされるであろうそのスマホゲームに、来週末はいち早く取り組む予定だったのに。真樹のせいでめちゃくちゃだ。
「まじか。それはお生憎様」
「はあ⁉︎ なによ、その謝り方。本当に悪いと思ってんの⁉︎」
「思ってるよ。けど、そもそもさ、俺が行くって言ったからってどうして河合さんまで行かなきゃ行けなくなったわけ?」
「そりゃあ……私だけが飲み会に行くとあんたが寂しがるから行けない、って断ってて……そしたら、清水が〝深川が参加するなら、行けない理由なんてないよな?〟って……」