社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜
そして、翌日のお昼過ぎ。
待ち合わせ場所に決めた公園。そのベンチに腰掛けてまきろんを待っていると、どうも見たことのある姿が私の方に向かって歩いてきた。
無造作に整えられた透明感のある茶色の髪と白い肌に淡白で整った顔立ち。それから、すらっと背の高い細身の身体。
こちらに向かってきているのは、間違いなく会社の同期、深川だった。
「……こんな所で何してんのよ」
何故かニヤついた顔で近づいてくる深川に、私の気分は急降下。
私は、誰にでも良い顔をして、上手く世渡りをしている深川が少し苦手だった。
高卒で働き続けている私でも知っているような有名大学を卒業し、その知識を武器に今や我が会社にとって欠かせない戦力となっているエリートな彼は、入社当時から一目置かれていた。
何でもこなせるくせに、人当たりも無駄に良くて、私からすると完璧人間というようなイメージで、出来ることなら関わりたくはない人種だった。
そんな彼が、一体、どうして私の目の前にいるんだ。
「何って……待ち合わせ?」
「へえ、そう」
わざわざ人気のないこの公園を選んでまきろんと待ち合わせたというのに、同じ時間に、この公園の同じ場所。更には、この深川と待ち合わせ場所が被るなんてどれだけついてないんだ!
……よし、こうなったら待ち合わせ場所を変更するしかない。
今にも叫び出したい気持ちを何とか抑えると、私はゆっくりベンチから立ち上がった。すると。