社内公認カップルの裏事情 〜ヲタクの恋は攻略不可能?〜

結局、誘いを断ることができなかった私は週末の飲み会に参加することになってしまった。

島田さんから、私が飲み会に参加しても良いかと聞かれた真樹も、二つ返事でオッケーを出してしまったらしく、もう逃げ道がなかったのだ。


「あ、美帆ちゃん!こっちこっち!」

営業部の一部と、私と島田さんが参加するという情報だけ。それ以外は何も聞けないまま、あっという間に当日を迎えてしまった。

指定された居酒屋に足を運ぶと、個室に通される。もう既に5人集まっていたけれど、その中に私がよく知っている人は島田さんぐらいで私は溜息をつきそうになるのを必死に堪えた。

確かに同じ社内で働いているし顔見知りの人もいるけれど、一体この場で何を話せというのだ。


「すみません。お待たせしました」

心中でぶつぶつと不満を嘆きながら、それなりの愛想笑いを浮かべると私は頭を下げた。

「美帆ちゃん、そこ座ってね」

「あ、はい」

何故か島田さんに席を指定され、私は、黒髪の若い男の子の横に腰をかけた。

向かいに見覚えのある二人の営業部男子と、隣にその若い男の子。そして、その向こうに島田さんが座っている。


「あ、あの、河合さん何飲みますか?」

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