「私にだって好きな人くらいいる」

百瀬が誰を好きでも、誰が百瀬を好きでも全然構わないけど、私のことを引き合いに出すのは辞めてほしい。


私だって傷つく心はあるんだから。


ああもあっさりと、嫌いだと言われてしまえば傷つかないはずが無い。


早くこの場から離れてしまおう。


彼の座る席側に食器返却口があるから正直動きたくないけど、ここに居て彼の話を聞くよりはマシかもしれない。


ちょうど通りかかった団体にまぎれてこっそりと席を立ち、食器を返却した。


「いつも俺のこと怒るし、ほんと可愛くないやつ」


混雑する出入り口で立ち止まっていると、百瀬たちに近づいたお陰で会話がよく聞こえてくる。


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