鬼社長の魅惑のボイス。

何度か取り直しもあったが
夢のひとときだった。

社長達がブースから出て来ても
私は、夢心地のままだった。

「おい、終わったぞ?椎名」

「は、はい。」
 
私は、ハッとする。
いけない……夢中で聴いてしまったわ!?

「お、お疲れさまです。社長」

「今は、社長と言うな」

「あ、すみません……」

テンパって社長と呼んでしまった。
うぅっ……恥ずかしい。

すると社長は、丸めた台本を私の頭に
ポンッと小突くとクスッと笑った。

「行くぞ!」
そう言いながら。

行くって何処に?

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