鬼社長の魅惑のボイス。

「すみません。寝ていました……」

車の中で……しかも社長の前で
爆睡とか信じらんない。
よだれ出てなかったかしら?

慌てて口を拭う。

「それより降りろ。帰るぞ」

「あ、はい。あ、あの……吹き替えは?」

「だから終わったって言っただろーが」

ガーン!!
嘘っ……楽しみにしていたのに。
せっかくのカイ様の吹き替え風景を
見学出来るチャンスだったのに……。

ショックでしゅんと落ち込んでしまう。

エレベーターでも落ち込んでいると
社長は、呆れたような表情で
「吹き替えなら、またやるから
次も連れて行ってやる」と言ってくれた。

「ほ、本当ですか!?」

それを聞いて嬉しくなる。
すると社長に苦笑いされる。

「現金な奴……」

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