名前で呼んでよ。

「え、どうしたの。」


そんな声が聞こえて顔を挙げると驚いた顔の悠希が私を見ていた。


「え、悠希…。帰ったんじゃ…」


私がそう言うと、悠希は何も言わず私の目からこぼれ落ちる涙を拭ってくれた。


「ジュース買いに行ってた。」


そう言って机の上のパックジュースを指さした。


いちごオレと、コーヒー牛乳だ。


「なんで、2本…。」


「なんでって、お前もいるだろ。…てか、なんで泣いてんの。」


悠希はそう言って、心做しか心配そうな顔で見てくる。


「なんもないもん…。」


私は意地を張ってそう言ってしまう。


馬鹿だなぁ、と自分でつっこみながらいまさら素直に言えないので黙っておく。
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