【短】恋がはじまるそのときは、
いつもいつも優にぃはそうだ。
わたしはずっと大好きって言ってるのに、心からの大好きを込めて言ってるのに。
優にぃはいつも本気にしてくれない。
6つも離れてるから?
恋愛対象じゃない?
……いや、それもそうかもしれないけど。
「優にぃ、彼女できたの?」
初夏、木の葉がひらひらと舞う道をふたり並んで歩きながら、ーーというのも、わたしたちは最寄り駅が一緒だから。
毎日一緒に駅まで歩いてる。
「ねぇ、聞いてる?」
「ん?ああ、なんだっけ?」
「だーかーら、彼女できたの?って」
不満げに聞くわたしに、優にぃも不機嫌そうな顔。