だからそれは、愛じゃない。





 鶴橋くんが待っている公園に着き、鶴橋くんの元へ駆け寄る。


「………鶴橋くん」


 名前を呼ぶも顔を上げてくれず、ずっと下を向いたままだった。



 ………なんて言えばいいのだろう。



 言葉が出てこない………『ごめん、待った??』なんて、もちろんそんな軽はずみな事言っちゃいけない。



「………………………」




 言葉が見つからず、ただただ黙り混んでいると、


「………あの時、お前があの1年の手を放って俺の所に来てたら、こんなバカにされる事なかっただろ」



「………え」



 いきなりの"お前"呼びに、思わず一歩、後ずさる。




 今まで”お前"なんて言われた事ない。
 どんなにイライラしてても、束縛してても、"お前"なんて言われた事、今まで一度もなかった。


「なんでお前はあの時、一言も話さなかった?? 何で俺を庇わなかった?? お前が俺の事"友達"とか言うから、こんな事になったんだろ………」


 ――怖い………
 怖い、怖い………


 こんなの、鶴橋くんじゃない………


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