だからそれは、愛じゃない。



「………は??」



 朱里を見た第一声は、もっと明るい言葉を掛けてあげたかったのに………ビックリしすぎて固まってしまった。


 右頬が腫れ、口から血が出ている。


 ……なんで、こんなにボロボロなんだ………?


 動揺する。手が震える………


「朱里………と、とりあえず、中入れ」


 俺の心臓の鼓動が早くなってるのが分かる。


 本当は『何があった!?』と叫んで近寄ってやりたかったけど、でも俺も動揺しすぎてそんな状態じゃない。



 だって、信じたくないんだ。


 こんなボロボロになる何かがあったなんて………



 グッと歯を噛み締めて、湧き上がってくるイライラを必死に押し殺す。


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