だからそれは、愛じゃない。




 二人の後ろ姿をマジマジ見ていると、

『朱里さんに鶴橋先輩が浮気してるって伝えて』


容赦ない良太のLINEに半笑いになるしかなかった。


 今、この状態の朱里に??
 


 無神経な良太に若干イライラしながら『朱里、精神的にヤバイから無理』と送ると、『朱里さんは鶴橋先輩から殴られたって言ってないんでしょ?? なら、伝えて』………と、返事がきた。



 だから!!
 言ってないけど、確かに鶴田に殴られたんだって!!


『コイツ、鬼かよ………』


 思わずボソッと呟くと、『祐樹………?』朱里が不安そうに見てきた。



 しまった。感情が出過ぎていた………


「………何でもないよ」


 朱里が不安にならないように、少しでも笑って返事をする。


 いくらなんでも、こんな状態の朱里に言えるワケない。


< 146 / 250 >

この作品をシェア

pagetop