だからそれは、愛じゃない。




 『それに、俺が鶴田先輩の束縛・暴力を辞めさせる方法はその現場を見てからじゃないと実行できない』と言い出した。


 ……………なっ。


「もっと他の作戦ないのかよ。一緒に考えればあるかもしれな――『他の作戦なんてない』



 …………でも、鶴田に殴らせるなんて………



 ”ハイ、そうですね”って納得するワケないだろ……



「和谷くんは二人を助け出すんだよね?? その言葉はウソじゃないよね?? だったらそんな綺麗ごと言ってる場合じゃないよ。何事も、証拠がなきゃ警察も動き出せないって俺、言ったじゃん」


「じゃあ、証拠を押さえてアイツを刑務所送りにするんだな!?」


「それで鶴田先輩が納得すると思う?? それで二人を助けたつもり?? 刑務所から出てきた後は?? 反省してなかったら殺されるかもしれないよ。人の因縁が一番怖いんだよ。警察ってのはあくまでも特例。大丈夫。俺、鶴田先輩だったら絶対負けないから」


 『信じてほしい』と言う良太。信じたいよ……本当は良太を一番に信じていたい。それでも、良太が言ってる事が正しいとも思えないんだ。



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