だからそれは、愛じゃない。



「もうイイよ………」



 だけど、鶴橋くんだけが悪いワケじゃない。
 情で離れられなかった私にも原因があるんだ。


 結局、鶴橋くんに『別れたい』という事ができないまま、鶴橋くんは帰って行ってしまった。



 鶴橋くんは私の傷を見てどう思っただろう………
 少しでも『申し訳ない』と思ってくれたのかな。


 鶴橋くんと別れれない私は、どっちにしろ鶴橋くんを許すしかない。



 ”次別れたいなんて言ってみろ。和谷祐樹をお前と同じ目に遭わせるからな”


 
 鶴橋くんが怒鳴った言葉が頭から消えない。私には選択肢なんてない。


 また『別れたい』なんて言って、もし祐樹をボコボコにされたら………


 ……そんな事、考えたくもない。


 祐樹に害が加わるくらいなら、私が我慢する。



 ……祐樹は絶対に殴らせない。
 絶対、私と同じ目になんて遭わせない。


< 166 / 250 >

この作品をシェア

pagetop