だからそれは、愛じゃない。



***


 ――翌日、『本当に学校行けるの??』と心配するお母さんに笑顔を向けて『行ってくるね』と、家を出た。



 お父さんとお母さんにも祐樹と同じように『転んだ』の1点張りで嘘を突き通した。



 教室に入ると私の顔を見て皆がザワつく。



 ……………これでも、腫れはだいぶ引いた方なんだけど、頬の青アザの方はまだ消えてない。痛々しい顔には変わりなかった。



「朱里ー!!!」



 よほど心配してくれていたのか、萌ちゃんが泣きながら抱きついてきた。



 萌ちゃんに『心配させてゴメンね』と謝り、抱きつき返す。………萌ちゃんにも鶴橋くんの事は何も話せない。罪悪感だけが心に残る。


「派手に転んじゃってさ。お医者さんから学校休むように言われてたの。これでもまだマシになった方なんだよ??」



「もー!! 気を付けて!! 前ちゃんと見て!! 朱里に何かあったら私生きていけない!!」



 ……………萌ちゃんは優しい。



 ゴメンね萌ちゃん。嘘を吐いてる自分がどうしようもなく、許せない………


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