だからそれは、愛じゃない。




「朱里ゴメン。俺の気持ちばっかり押し付けてごめん。朱里が俺の事好きじゃないって分かってるから。俺への返事はしなくていいから………」


 違うよ………押し付けなんかじゃないよ……
 私も祐樹の事好きだって気づいてよ………
 

「でも返事をしなかったら祐樹にいつまでも期待を持たせるじゃん………」


 思ってる事とは反対に、残な言葉を発してしまった。


 私が一番残酷だと思った。
 私の発言が、祐樹の心を傷つけた。



 『付き合えない』事を、遠回しに『いつまでも期待を持たせるじゃん』で表現してしまった………



 当然、私の残酷な言葉を聞いた祐樹は、ハハッと曇った顔をして見せた。


 もう泣きたい……………
 感情を全部全部、爆発させてしまいたかった。


「………朱里。一つだけ答えてほしい。朱里は鶴田と別れたい?? 別れたくない?」


 ……その二択しかないのだろうか。


「それは………………」


 言いかけて黙る。祐樹の質問に答えられなかった。


 だって私は鶴橋くんと『別れられない』んだ………


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