だからそれは、愛じゃない。
バスケ部の練習試合まで残り一週間になった頃、
「佐野朱里さん!!!」
廊下を歩いていると、可愛らしい声で名前を呼ばれ、思わずその場に立ち止まる。
「………………はい??」
ゆっくり後ろを振り向くと、高城さんが息をハアハア切らしながら不安そうに私を見ていた。
……………………高城さん。
私の名前を呼んだという事は何か話したいことがあるのだろう。
「あ、の、作戦聞きました!! 和谷くんから………」
………やっぱり何か話があるんだ。
”作戦″『高城にも伝えるから』と言ってたけど、ちゃんと伝わっているのだろうか。