だからそれは、愛じゃない。
「………ごめん。今度から部屋に入れないようにするね??」
鶴橋くんの顔色を気にしながら物分かり良い子を演じる。
表情がフッと柔らかくなったのを見て、”よかった。機嫌を治してくれた”そう思ったのに、
「朝一緒に登校するんなら、夜和谷くんと話す必要ないよね?? 和谷くん来ても会わないでくれる??」
………………………………鶴橋くんは更なる要求をしてきた。
部屋に入れないのは納得できたけど、祐樹が来ても会わないでって。
………話が違う。
表情が固まる私を見て、鶴橋くんは口を歪めた。
「俺、これでもかなり我慢してるんだよ?? 朱里も俺の彼女なら分かってくれるはずだよね?? 朱里は和谷くんと仲良かったから、和谷くんの事を1番に考えてしまうのかもしれないけど。でも、今は俺の彼女なんだよ?? 朱里の1番を俺にするのが当然なんだよ」
確かに………こう言われてしまえば、鶴橋くんの事を一番に考えなきゃいけないのが当然なような気がする。
でも祐樹の事を一番に考えてるワケじゃない。
まるで『他の彼女は皆俺に尽くしてくれた』と言わんばかりに、強い口調で言い張る鶴橋くん。
だから思わず、
「今まで付き合ってきた子も、皆そうだったの?」
『わかった』でもなく『うん』でもなく、”一番を俺にする事が当然”と言い張る鶴橋くんを、否定するかのようについ嫌みっぽく聞いてしまった。