だからそれは、愛じゃない。




 朱里は別れる気ないのだろうか。別れる気ないよな、今朝だって”鶴田とキスした夢”って顔を赤くさせてたし。


 付き合っていく以上、このままだったら絶対、束縛が酷くなる。



「なあ、朱里。もう別れろよ」



 正直、我慢してまで鶴田と付き合ってほしくないし、もうこれ以上朱里のツライ顔は見たくなかった。



 でも、何も答えない朱里に、俺も何も言う事はできない。



 朱里が助けを求めてきた時に、助けてやるしかないんだ。



 ――所詮、俺にはそれくらいしかできないんだ。



「まだ好きだから。別れたいワケじゃないの。ありがとね、祐樹。もし我慢できなかったら助けてね??」



 苦しそうに笑う朱里。


「そんなの当たり前」


"相談されるって事は信頼されてるって事だし"良太はこう言ってくれたけど、自分じゃ不安になる。俺は朱里の良き相談相手になれてるだろうか………


 長年一緒にいて芽生えた信頼関係はこれからも壊れないでいてくれるだろうか。


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