だからそれは、愛じゃない。




「鶴橋くん、大丈夫! 祐樹は部屋に入ってな――「そうじゃなくて。朱里、俺が言いたい事分かってる?」


 ……鶴橋くんが言いたい事。
 約束を破ったか、破ってないかを知りたいって事なんじゃないの??


「………………………」



 でも、違うかもしれない。



 他に鶴橋くんがこんなに怒る理由が思い付かない。違う事を言って、また怒らせたくはない。………ので、何も答えず黙っていると、


「朱里が実際に夢に見たキスは、和谷くんがしたんじゃないかって事」


鶴橋くんのいきなりの疑いに、頭がついていかない。



「え………?? な、何言ってるの?? そんなハズない………」



 ………祐樹はそんな事するような人じゃない。むしろ、鶴橋くんの疑いに怒りさえも込み上げてくる。



 さすがに疑い過ぎにもほどがある。


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