だからそれは、愛じゃない。




 近くに寄り、俯いて座ってる鶴橋くんに視線を合わせるようにしゃがみこむ。そして、手を鶴橋くんの頬に触れてみた。


 ……冷たい。このままじゃ、風邪引いてしまう。



「鶴橋くん、何でここで待ってたの?? 教室でもよかったのに………」


「朱里に大事な話をする為に。心を落ち着かせてたんだ」



鶴橋くんは俯いていた顔を上げ、うっすら寂しそうな笑顔を浮かべては私に抱きついてきた。



 『大事な話』やっぱり別れ話なんだ………



 そう思うと直球で切り出される事が怖くて、『もうイヤになったよね、キライになったよね』と、遠回しに聞いてみる。


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