だからそれは、愛じゃない。




「朱里にかなり我慢させるかもしれないよ?? どうしたって束縛してしまうと思う………朱里はそれでも平気??」



 ”平気??”と聞かれたら、平気ではないと思う。
 だけど、それより鶴橋くんの想いを知ってしまったから、きっと前よりずっと我慢できる。



 『俺の為に我慢してくれる??』と問いかけてくる鶴橋くんに心を決める。



「鶴橋くんの為なら耐えられる」



 今まで鶴橋くんが我慢してきた分、今度は私が頑張りたい。鶴橋くんが安心できる存在でありたい。



「………ありがとう朱里。俺、嬉しいよ。ねえ、キスしていい??」




 ”キス″



 祐樹から『俺もしないから、朱里もしないで』と言われた。だけど、今この状態の鶴橋くんの頼みを断るなんてできなかった。



 だから、ゆっくり頷いた。


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