だからそれは、愛じゃない。




 どうにかしたいけど、どうする事もできなくて。朱里が教室に戻ってくるのを、ひたすら待っていた。


 どうしても伝えたい事があった。


「……………祐樹、ごめんね」


 戻ってきた朱里は俺を見るなり弱々しく謝る。


 やっぱり未だに元気がなくて。でも何があったのか聞く事もできなくて、


「俺は何があっても朱里の味方だから。それは忘れんな」


 俺が言いたかった事はこの言葉だった。


 すると朱里は表情を変えずに『もし仮に祐樹と話せなくなったとしても、私の味方でいてくれる??』と、聞いてきた。


 鶴田は朱里の事を縛り付けるヤツ。



 朱里もそれを分かっているのだろう。さっさと別れて俺の所に来い。そう言いたいけど、朱里が好きなのは俺じゃなくて鶴田なんだ………



「そんなの当たり前だろ。ツラかったら俺に甘えて良いから。無理だけはすんなよ」



 ……朱里と話せなくなるなんて、そんなの考えたくもない………絶対、アイツの思い通りになんてさせない。


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