【中編】彼女様は甘い味。
「…は、隼人くん、
あの…あ、ありがとうございます」
驚いた表情でその“隼人くん”をボーっと見つめる。
「いいからいいからっ、…ホラ、飲んで?」
優しくあたしの口元に紙コップを持ってくると何故かその水を隼人くんに飲ませてもらっているあたし。
突然のことで良く分からないけど…
「…落ち着いた?」
アレ、いつからあたしの横に居たのが隼人くんになっているんですか、ね…?
そしてその隼人くんの隣には、…ムッとした表情の、結衣ちゃん。
それよりも、
「…あの、隼人くん、そのどうもです」
「いや、いいよ気にすんなっ
…つーかさ、今からちょっといいかな?」
急に何を?なんて思っていれば『いきなりごめんね』何て言われてしまい、返す言葉が無くなってしまう。…でも何でしょうか、
「…あ、いいです。けど」
「ちょっと、奏音!」
さっきまであたしを放置していた恵ちゃんが少しばかり声を荒げる。
…きっとまたややこしいことになるから、そう言いたいんだと思いますけど。
けど、隼人くんはあの日以来。
確かに変わりましたけど、酷いことはしてこないし…
それに…、
何より昔からの友達をそんな簡単に嫌いになんてなれないものです。
結衣ちゃんや恵ちゃんは気を付けろと言いますが、
…同じなんです。
お二人と同じように隼人くんも大事な友達、だから。