【中編】彼女様は甘い味。
「…答えろよ、
俺と付き合うか、ここで痛い目みるか…」
再びその“選択肢”とやらを繰り返して言う隼人くん。
…どうして、そんな残酷な目をしているんですか?
あたしが知っていた隼人くんはそんな…、
なかなか答えを出さない奏音に苛々したのか、強引に顎に触れ上に向かせると…
ゆっくりと唇を近付ける。
っ!!
う、動けません…っ!?!?
必死に抵抗、もがいたりしてはみても、ビクともしなくて…。
どうしたらと考えるうちに、もう諦めるしかないのかもしれないなんて思ってきてしまって。
目を閉じて唇を噛締めることしか…
「卑怯だな、お前…」
突然、聞こえたその声に隼人くんもハッとしたのか、動きを止めた。
それと同じように閉じていた目を開きその声のする方向へと視線を送る、…と。
「…せ、先輩っ!!」
その姿は紛れもなく蓮、先輩。
…でもどうしてここに?
「何でアンタがいるんだよ…」
ムッとした表情で言うと隼人は自らの腕の中に奏音を抱きとめる。
「…あっ、!」
思い切り腕を引かれたせいかそんな声が出る。