【中編】彼女様は甘い味。
蓮先輩はぶっきらぼうにそう言ってあたしより先に教室を出ていく。
…あっ、
本当ならそのまま後を追いかけたいところですが、
「…隼人、くん。
答えは“3”ですよ」
まだちゃんと答えていなかったので、
そう答えてみました。
あたしの答えは、隼人くんと付き合う1でもなければ2でもないんです。
「…3?」
少し虚ろな目で聞き返す。
「はいっ、
…後、もうこんなこと、しないで下さいね?」
さっきまで危険にさらされていた人間が、
その危険へと追いやった人間にニッコリと笑顔送る。
…何とも不思議なものだ。
「『今度アイツに手出したら、ただじゃ済まねぇかんな?』」
…?
「何ですか、それ」
「…ふははっ、何でもない
行けば?早く」
隼人はそう言うと視線を窓の外に向けた。
「…はいっ!
さようならです!!」
再びまた笑顔を彼に向けて教室を後にした奏音。
「…卑怯なのは、どっちだって」
誰もいなくなった教室でポツリと呟いた一言。
敵わないのは俺の方だった。
…そう心の中で思っていたようだった。