【中編】彼女様は甘い味。




「姫山先輩ったらあたし達のこと見た瞬間『ウサギ女は?』…だからねっ!」


何だ不満でもあるのか、
とてつもなく不満そうな表情で恵は言う。




…けど、本心。

先輩があたしを…?なんて浮かれたことばかり考えてしまいます。


恥ずかしながら…




「…だから“大杉に連れてかれました”って言ったの、
そしたら『誰だよ、それ』って」


『初めて先輩とした会話がコレだよ!?』とまだ不満そうな。




「それで、大杉隼人って言ったら…

すんげー速さでかっ飛んでいったわけよ、まったく…」


「…蓮、先輩が…」

そう思うと変な感じです。



だって、だってだって!!…あの先輩があたしのことを。



一人でニヤニヤ緩む顔を必死で抑えてはみるものの、ニヤケは止まらないものでして…


…ひょっとしたら、

あたしは世で言う…“変態”になってしまうのでは?



ま、まっかさー!!


※まさか、です。




「奏音、顔がキモいよ」



…っえ!?!?


急に焦ったようにペタペタ顔を触りだす奏音。

そういうわけじゃない、のに。



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