【中編】彼女様は甘い味。




けれども一応は先輩が何か言うのを待つべき、…ですよね?


そう思い直し頭の中で繰り広げられた考えを一旦消し去り、先輩を見つめる。



それはそれは満面の笑みで。



「えー?じゃぁ何でもいいのかなぁ…??」


優しく天使のように微笑む、先輩。


あぁ…

何て可愛らしい人何でしょうっ、


「はい!

…なんなりと、どうぞ!!」



“なんなりと”


奏音にとっては深くも浅くもなかったこの一言。



しかしこの言葉で、
ある人物のスイッチをOFFからONに切り替えてしまった、のでした。




「“なんなりと”…ねぇ?

いいねぇ、そういう大胆なは・つ・げ・ん…」


何故か耳元で言われた、正しくは『発言』という単語なのですが…


…あの、


あの可愛らしい先輩の口調と声と表情が、

まるでまたもや180°変わってしまったかのように…

口調は“悪く”

声はとても“低く”


そして何より顔つきが“男性”になってしまって…!!



※愁は元から男です。




「先輩…っ!?」


ど、どうしてしまったんですか??



既に奏音の脳内細胞は崩壊。


さっきまで咲き乱れていたお花畑も、悪魔の仕業により除草剤で次々と枯れていく。なんて現実的な…。



ってそれどころではなくて。


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