【中編】彼女様は甘い味。




「あ、…すいませんです」


何故か何故か、ペコリと頭を下げて謝ってしまうあたし。

最近これは学んだことなのですが、蓮先輩は言い返すと必ず言い返してくる人です。
自分の悪いところを認めようとはしない方なので、


「…べ、別にそんな謝ったり、すんなよ」

そしてよく分からないのですが先輩はよくこう矛盾する点があるのです。


「何か先輩、言ってることメチャクチャですよ?」

手を口に当ててクスクスと笑う彼女を、蓮二は少し頬を赤くして見る。
けれども目が合うとあからさまに逸らしてしまうのが彼らしいといえば彼らしい。…のかもしれない。


先輩のいまいちよく分からない態度に不思議な気持ちを抱きつつ、さっき蓮先輩が言っていたことをふと思い出しました。



「先輩、今日どうなされるんですか?

…ベッド使われますか?」


特別深い意味なんて、なかったのですけれど…



「はぁっ!?…おっ、お前何言ってんだよ!!」

一度収まったハズの先輩の赤く染まった顔がまた再び紅潮して、


何と言われましても、

いくらアクシデントがあってこういうことになってしまったとしても…、
一応はお客様ですし床にお布団を敷いて寝させてしまうなん、てそんな悪いことはしてはなりません!!



「何って…、なにですか?」

言語がおかしい気もしますが、逆に聞き返します。


だって何が何だかあたしにはよく分からないのですから!!



「おま、お前なぁ…、そんなこと簡単に男に言うんじゃねぇよ…マジで」


…へ?



先輩もしかして何か勘違いをされているのでは…?


珍しく奏音の勘は冴えていた。

というか一般的になってきたの、…かもしれない。


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