【中編】彼女様は甘い味。
「蓮先輩…何を誤解されているのですか?」
キョトンとした表情の奏音。それ同様にポカンと口を開けたままの蓮二。
少しばかり微妙な空気が流れてお互い何も言えなくなってしまった。
「……は?」
「あたし、そんな不謹慎なことは言ってないのですけれども…」
「え、ベッドって…あ!!そっか、そうか…んだよ紛らわしいこと言うんじゃねぇよ!!」
またまた先輩の顔は赤くなって、
それなのにあたしにはまったくよく分からないのです。
…一体何が何でどうなのですかね?
「布団、あるのかよっ」
するとぶっきら棒に先輩が言いました。
「あ、あります!
…そこの押入れに入ってますよ、…えーと、ここです」
膝の上に乗せていたウーたんをいつも寝る時のウーたんポジションに持っていってあげてから、押入れに近付いてあたしは言った。
あ、でも先輩…
押入れを開けてから瞬間的に脳裏に過ぎったこと。
「…おいウサギ、何?コレまじで」
先程の赤く染まった可愛らしい先輩は何処へいってしまったのでしょうか?
赤と対照的な青ざめた表情になってしまって、
やっぱりマズかったのかな、ウーたん…
それよりあたしの名前はウサギじゃないのに、
ってそうじゃなくてです!!
「ふっ、布団です、お布団」
焦りが丸出し『ふ』と言おうとしたらその『ふ』は大きく裏返ってしまいまして、
そのせいで引き攣る奏音の笑顔。
そして彼の笑顔もどこか恐怖を感じさせるわけでして。