【中編】彼女様は甘い味。
「んなこと分かってるんだよ!お前の頭ん中マジでどうなってるんだよ本当…」
とか言いつつもその布団と隣に積んである掛け布団に手を伸ばす蓮二。
その布団とはまたまたみんな大好き!ウーたんシリーズで、
レースのフリル付き“お姫様気分を味わえるよ”が大テーマのまたまたこれもまた限定物なのですが…
あたらしくベッドをお母さんに買って貰った時、新しいお布団セットも買って貰ってしまったので、まぁこういうことになってるのですけれども。
「先輩やっぱりベッドで寝られた方が良いのでは…?」
もうタジタジな奏音。
あたしの趣味と先輩の趣味はハッキリ言って真逆の中の真逆なのですけど…
「どっちも同じだろーが、つかもうそういうの気にすんなよ…お前のそういうの、慣れたし」
蓮先輩はそう言うと『ここにどかしていい?』と置いてあった小さな机を見て言いました。
それにあたしも縦にコクンと頷く。
慣れたし…とは?
「…すいませんが、それはどういう?」
やっぱり奏音は分からない。
こんなセリフを言うのに、蓮二がどれだけ苦労したかなんて…彼女は知らないんだろう。
ただでさえ照れ屋で不器用な彼なのだから。
「だから!!!」
持っていた布団をドサッと床に落とすと奏音のことをジッと見つめた。
…あ、またです。
この先輩の瞳、
大きくて澄んだこの瞳を見てしまうとあたしは色んなことを考えてしまうんです。
例えばそれは先輩への想いだったり。
先輩の歌う姿だったり。
…あの日に見た、先輩の歌の歌詞だったり。