【中編】彼女様は甘い味。
頭は沸騰。
もう何が何だか分かりませんっ!
…こんなことがあたしはよくありますが、今回は本気です!!
本気の意味が分からない。
「おい、ちょっと落ち着けって…!!」
「…忘れちゃって下さい、もうこの際全ての記憶を消してあたしの存在ごとこの世の中から葬り去ってやって下さい!!
もうあたしは何でもする覚悟でこの失態を…いいえ、この罪の報いを!!!」
穴があったら入りたい、
いや穴があるならそこに埋めて頂きたい…
「忘れろって…お前本気で言ってんの?」
思い切り瞑っていた目を薄っすらと開いて横目で先輩の顔をチラッとだけ見てみます。
きっといつもみたいに馬鹿にされてしまうんじゃないかとか、
適当にあしらわれてしまうんじゃないか…なんて考えていたあたしはその視界に入った先輩の表情に、
思わず薄く開いていた目をグッと見開いてしまいました。
「…先輩?」
まさにこの時の蓮先輩は“男性”そのもので…
どうしてもその真っ直ぐな先輩の瞳を見れなくて、視線から逃げるようにして後ろに後ずさる。あたし。
怖いと言えば、それは嘘になる。
けれども怖くないと言っても、それは嘘になります。
今思えばこんなそばに好きな…大好きな人が居るのにあたしは、あたしは。
自分から離れていくような、
現実逃避。
まさにそんな感じです。ね。