【中編】彼女様は甘い味。
けどやっぱりなかなか慣れないあたしは、蓮先輩に名前を呼ばれると何だかくすぐったい気持になります。
外に出てみればお天気はとても良くて、
少しばかり秋も過ぎて冬に近付いている感じで。スカートを履いているせいでしょうか?
足が少しばかり冷んやりとします。
でもそこまで言うほど寒いわけでもなく…
なんて。
「それより先輩…今日は何処へ行かれるのでしょうか?」
ポーッとした雰囲気を出しながら口を少しばかり開けたまま奏音が言う。
「まぁ…ついてくりゃ分かる」
??
意味深な笑みを浮かべながら蓮先輩はあたしより一歩前を歩く。
後ろから見る先輩の後姿に思わず見惚れてしまう。
「何ですかそれ」
蓮二の後姿を見たからなのか何なのか分からないけど、妙に顔が緩んだまま。
ただの普通の道も。
先輩と歩けばただの道じゃなくなります。
…あ、
そんなことを思っている時、ふと気付く。
すれ違う女の子達は先輩のことをチラッと見てて…
『格好良い』なんて言葉があたしには聞こえてきてしましました。
でも当の本人はそんなことなど全く気にしてなんていなくて、
「先輩…気付いてますか?」
ちょっとムッとしたような声と表情で奏音の大きな瞳が蓮二を見上げる。
そんな奏音に少し驚いたような顔をして声を出さずに『何を?』というかのように少し首を傾げて、
「みんな見てます、先輩のこと」
「…みんな?」
ポカンとした顔で先輩は言う。