【中編】彼女様は甘い味。
「な、な…っ!?」
後ろからの伸びてきた長い腕にギュッと捕まえられて、瞬間的に後ろに体勢を崩すとそのままあたしは甘い甘い香水の匂いがする世界に包まれた。
驚きでいっぱいだしたけど、
その驚きは一瞬で消え去ってしまい。
「ビビっただろ?」
悪戯っぽく子供の様な笑みを浮かべて蓮先輩はあたしの顔を後ろから覗き込む。
先輩に後ろから抱き締められているのと、耳元にある先輩の顔。
それだけであたしの心臓は急な反応をしてしまって…思わず動くことも言葉を発することも出来なくなってしまいます。
「…ビビりすぎて声も出ねぇか!」
「そ、そりゃぁビックリしますよぉ…!!」
妙に声が震えている気もしますがあたしはそう言うとクルッと腕の中で体勢帰ると、蓮先輩の方に身体を向けた。
「で、妬いた?妬いてない?」
まだ先輩はニヤニヤといつもみたいな笑みを浮かべていて、
これは間違いなくあたしのことをからかってるんです!!もしくは楽しんでる…?
けれども…
「妬いてしまった、のかもです…」
顔を赤らめて伏し目がちに奏音は言う。
これが世間でいう『萌え』なのではないだろうか…?
なんて。
案の定蓮二はそんな奏音に激しく動揺中。
「ば…っ!そういうことは言うんじゃねぇよ…いや、言ってもいいんだけど…」
何だか先輩は何かに照れているような感じで、
頬を少しばかり赤くして何だか思ってはいけないのでしょうが、“可愛い”なんて思ってしまいます。
「ふふふ」
微笑ましい蓮先輩の姿に何だか無性に顔が綻んでしまうんですよね。