【中編】彼女様は甘い味。
大体そもそも…
奏音の言う“こういう場所”とはどういう場所のことなのだろうか?
「あー、俺別に嫌いな訳じゃないんだよな…花とか“こういう場所”」
だから…どこ?
「え…そうなんですか?」
と驚きでいっぱいの奏音。
「おう、詞とか考える時によく一人で来たりすっから」
「そうなんですか…」
急にさっきみたいな子供がはしゃぐような表情から一変して、
ちょっとばかり落ち着きを取り戻すと、ちょこんと蓮二の隣に腰を降ろした。
「でもビビっただろ?
俺がまさか“植物園”に連れて来るとはな〜」
先輩は自分で言って自分で笑っている。
でも確かに驚きましたよ…
どんな所に連れていかれるのかと思ってましたから、ね?
…植物園、だったのか。
「何のお花が好きなんですか?先輩は」
ベンチの背もたれに両腕を掛けるようにして垂らしてボーッとたくさんのお花を見てる先輩。
あたしが問い掛けて少しの間が空いてから…