【中編】彼女様は甘い味。
『お前のことさ…』
低く甘い声があたしの耳から全身に響いて染みるのです。
その続きの言葉を…
自分の都合の良いように考えてしまうのは、不謹慎なことでしょうか?
よく見る少女漫画はこんな時、心の中で思うのです。
悲観的に“そんなハズ”がないのだと。
けど単純で恋など知らないあたしは…こんな時に何故かネガティブ。
ではなく。ポジティブになります。
「……、」
いつになく黙ったまま少し口を開けるあたしの姿は、
もしかしたら周りからすれば間抜けかもしれませんね。なんて…
「お前…、奏音のことがさ…」
“お前”を“奏音”に言い換えた所がまた…
蓮二らしいと言えば蓮二らしい。
「…す「蓮二くーん!!」」
っっ!!
その声と共に。
あたしと蓮先輩の間に隕石が…って、
隕石ではなく女の子が降ってきました。
ん、?
そして奏音は気付くのです。