【中編】彼女様は甘い味。
これはウサギの特殊能力かもしれませんけれども…
その女の子と目が合った瞬間。
奏音の全身は硬直するように固く固まってしまったので、ある。
「き、き…京香さんっ!!」
片方の手を口元に当ててその反対の手で思い切りグーンと腕を伸ばすと、人差し指を京香に向けた奏音。
そしてその奏音のいつもより数倍はデカい声に驚きつつも、
蓮二は自分にまとわり…というか“絡み付く物体”を自らの目で確認した。
「ゔ…っ!!!」
とそれだけだか、
それだけでも蓮二にとっては悲痛な叫びだった。らしい…
「蓮二く~ん!どうして電話に出てくれなかったの?」
以前あたしに怒鳴り散らした彼女からすると到底考えられないような甘えたような…女の子らしいような。そんな声です。
…あの時みたいに低い声で話せば良いじゃないですか!
と、ちょっと不服な気分です。
「お前がしつこいからだよ…
つーか消えてくれよ!マジで!!本当にっ!!!」
蓮先輩はそう言うと、京香さんの腕を掴んで自分から引き剥がした。
「ヤダ!!!あたし蓮二くんとデートしたいっ!」
…なっ?!
何だこの子は一体!
と奏音も心の中ではそう思っているらしいが、顔には出さない。
「何で俺とお前がデートしなきゃなんねぇーんだよ…」
呆れ顔で先輩は深く長い溜め息を吐く。