【中編】彼女様は甘い味。




「あ、連れがいるの!…って!!何近付いてるのよっ」


思い切りあたしのことを睨み付けると頬を膨らませてフンッと鼻息を勢いよく出す京香さん。


…怒っていらっやるみたいですね?

あたし何か気に障ること言いましたか?しましたか…?


そうだとしたら良くないですよね、はい。


「あの…気に障ることをしたなら「今トイレに行ってるの!!」」


あ…遮られてしまいました。

というよりも今はワザとそうしたんでしょうね…きっと。


だなんて。いつもの奏音よりは数倍!っていうくらいに勘?ではなく頭が回っているようでして、成長したのかもしれないね。なんて、



「トイレ?」

「そうっ!!…あ!でも別に付き合ってるとかそういうわけじゃないからね!?!?」


あぁ!!

きっとこれは蓮先輩に誤解をされたくないからこんなことを言ってるんですね…?


と今までにないぐらい冴えている奏音の思考。


「別に興味無ぇから、お前のことなんかマジで!」

「蓮二くんの意地悪~!!」

「うるせぇ!黙れ!!」


…あらあら、酷いですね。

とか思いつつも心のどこかで京香さんへの態度に安心感を抱いている自分に気が付きまして…胸の内で謝罪をしておきましょう。


『申し訳ございません…』

なんて、能天気な奏音。



「あれあれ~?お二人さんは仲良くやってるみたいだから…俺達は俺たちで楽しんじゃう?」


……っ!!


背後から聞こえてきた聞き覚えのある声にビクッと身体が身震いして、そのまま後ろを振り返り…



「は、は、隼人くんっ!?」


あたしの大きな声に瞬時に反応して驚いた表情をしたのは蓮先輩で、

そんな蓮先輩とあたしを見て面白い物を見ているように不敵な笑みを京香さんと隼人くんは浮かべていました。わけでして…


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