【中編】彼女様は甘い味。




そしてしばらくの沈黙の後、

再び京香さんの唇に少しの隙間が開いて…きますっ!!なんて身構えを無意識にしちゃっていたりするあたしです。



「お兄ちゃんが…言ってたんだもん!」


お兄ちゃんっ!?!?

それって、葛木先輩のことですよね?そうですよねっっ??


「京也が何で知ってんだよ」

と不機嫌さを全面的に押し出すのは。蓮先輩。



「蓮二くんのこと探してたら…お兄ちゃんに会って、そしたらきっとまた植物園にでも行ってるんじゃないかって…

それで来てみれば…ちんちくりんと一緒に居るんだもんっ!!」



また…ちんちくりんって、


「それよりも…どうして隼人くんもここに?」



確かに。


とそんな顔をするのは蓮二と…何故か京香。

その驚きというかなんというか分からないような表情をした京香を見て、今度は奏音自身が驚いた表情をした。


「そういえば…何で居るのよ、あんた」

「…はぁっ?
お前、一緒に来たんじゃねぇのかよ」

「そうですよっ、てっきりそうだと思ってましたけど…」


ベンチに座ったままの隼人くんにあたし達三人の視線が注がれる、
けど当の本人はまたもやよくは分からないけど、意味深な…不気味な笑みを零す。というよりは浮かべているって感じなのかもしれませんが。


「どうなんだよ」

その先輩の声で、ダラーンとだらける様に座っていた隼人くんがそのベンチから急に立ち上がり、
何故か再び笑う。


…何故笑うのでしょうか??

詳細は、謎ですが。



「散歩してたら、見た」

見た…?散歩??


気のせいでしょうかそれとも気のせいじゃないのでしょうか??


心成しか、隼人くんの言葉使いや口調。なんというか…キャラクターそのものが崩れているような気も、


しないでもないような。


< 168 / 189 >

この作品をシェア

pagetop