【中編】彼女様は甘い味。




「そう思うなら助けろ!どうにかしろ!!」

相手が女の子となればさすがの“悪党”も手を出すわけにもいかない。
それに、相手が京香となればもっとも。


「嫌だね」

そんな言葉を蓮先輩から投げかけられた隼人くんは全く聴く耳も持たない。しかも結局はプンッとそっぽを向き鼻歌を一人で歌い出す始末。


あの蓮先輩を見下しましたね…??

さすがです!


※いまいち分からない。



「…テッメェ…っ」

そしてつり上がる先輩の眉。


あ、だいぶご立腹のようですね、先輩。



そして少しだけ先輩は動きを止めると…何かを考えるような素振りを見せる。

その間も京香さんはニコニコとよく分からない笑みを浮かべてあたし達をジーッよ見つめていまして、はっきり言ってそれは…


とてつもなく怖いもので。


「…奏音っ!!」

瞬間、急にあたしの方に向きを変えて名前を呼ばれる。


「…へっ」

妙に変な声が出てしまい。とにかく突然のことに驚きを隠せずにいると…


あたしの視界は一転して空が映り、そう思っていると今度は地面が映り、最後には先輩の顔が見えて。



「掴まってろよ!」

何を?何に?ていうか何???


いつもの奏音ではなく心の中だけで素になる奏音。



「ちょっと待ちなさいよーっ!!」

後ろから聞こえる京香さんの怒鳴り声。


…ん?

後ろ?ウシロ…??


何故後ろから聞こえるのですかっ!?!?


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