【中編】彼女様は甘い味。




―ジャーッ


もう授業も始まった頃だろうか…


授業をサボるなんて人生初めての経験らしく、さっきからソワソワしている奏音。




「…タオル…、」


「どうしよう…どうしよう…」


「オイ、てめぇ!…ウサギ女!タオルつってんだよ!!」


「は…、はいっ!!」



…それよりも何故、

奏音がこんなところでこんなことをしていてこんな所に連れてこられたのか、



「あの…、何をしてるんでしょうか…?」


そもそもあたしはここで何を?

どうして姫山先輩と一緒にいるのでしょか…?



「髪、洗ったの、

…見て分かんねぇのか?馬鹿だなお前」


一言、…いや二言以上は多い気がします。

この方は本当に先輩っていうよりは子供って感じのような…



「あー、はい…、

でも何であたしをここまで連れてきたんですか?…それに、食堂にいたのも、どうしてでしょうか…」


「お前京也に頼まれたんだろ?俺達のマネージャーみたいのやれって」

タオルで髪をワシャワシャと拭きながら言う。


「…あっ!!

そうなんですよぉ、…どうしてなんでしょうかねぇ…?」

「知るかよ、」


…即答。




『男ばっかだからさ~、やっぱ女の子の空気も必要なんだよねぇ』

と、急に京也先輩に言われたのが始まりで。

これって“マネージャー”とは違うんじゃないかと思ったり、


結局はあたしと結衣ちゃんの二人が頼まれたわけでして、…だからさっき恵ちゃんが不満そうな顔をしてたんですよ、はい。




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