【中編】彼女様は甘い味。
蜂蜜色の君
鈍感で無防備なコイツにさっきまでの動揺した俺の気持ちは裏返り、…逆にどうしたらいいのか分からず困った。
だって無防備すぎんだもん。
マジで…
世界中の男達全員が良い人なんて限んないだろーが。
馬鹿か。本当、
「お前さぁ、本当…」
そう言った途端、俺達の居る場所に少しの風が吹いた。
柔らかな風は俺の目の前に居る奏音の長くハチミツみてーな色した長い髪に上手く絡まって。…靡く。
そしてその風が止んだ時。
絡まる俺の視線とコイツの視線。
女なんてみんな同じだと思ってた。
ていうか女に限らず周りの奴等ほとんどが、
信頼できんのも。…少しの心の休み場も。俺にはあいつ等だけしか居なかったし。これからもそうなんだろうと思ってた。
勝手に周りは騒いで。
キャーキャー奇声みたいな声を上げて。
俺のこと何も知らない癖して、知ったかぶって、
まぁ歌は嫌いじゃなかったから…そこはある意味の救いの場だったのかもしんねぇけど。
歌いたいから歌うし。
アイツ等が居るからDevilってバンドは成立してんだと思うし。
それであの文化祭の日。
俺のライブ中に倒れた変な女。
そのせいでライブは中止になるし…
結局は俺がそいつのことを保健室まで運んでやって?何が何だかよく分かんねぇし。
でもそれだけで『俺のライブ中に倒れた変な女』それで俺の中でのその女はたった一瞬の思い出っつーか?…“出来事”でしか無く終わる筈だった。