【中編】彼女様は甘い味。
でも。
コイツはどんどん俺の中に踏み込んできた。
ズカズカ土足で何にも考えずに能天気に、
それで気付けば…
「馬鹿だし、頭逝ってるし…」
「先輩…?」
ゆっくりと奏音の頬を優しく柔らかく挟む。
真ん丸の目をして驚いたみたいな顔して、俺の目をジッと見つめる奏音の瞳は微かに揺れていた。
「単純だし…すぐ悪い方向にばっか考えやがるし。」
すぐ意味の分かんない被害妄想ばっかするし。
けど放っておけない。
一人にしておくと、どんな危険な目に合うかも分かんねぇから。
「…馬鹿だし、ウサギだし」
その添えたままの手に少しの力を込めて、