【中編】彼女様は甘い味。




その指摘された鼻水を拭おうと洋服の袖で擦ると、…何故こうまでも上手くビョーンと伸びてしまうものか…

奏音はある意味での恥ずかしさで胸がいっぱいになってしまう。


でもそんな奏音を蓮二は見てひたすら笑い続ける。


「ったく…」

蓮先輩はそう言うあたしの鞄の中からポケットティッシュを取り出すとそれをあたしに差し出して、


と言いましても、

そのティッシュの一枚を手に…


「かめよ」

いや…そんな汚いことをしてしまったら先輩の手が汚れてしまいます。よ。

あたしの心の中を読みっとってしまったのか。それとも…違うのかはあたしには分かりませんけれども、


「気にしないでかめ」

「…、」


チーンと奏音は蓮二に鼻をかませて貰って、
大体、さっきまでの良い雰囲気を自分の鼻水のせいで壊してしまったとしたならば…本当、申し訳ないです。


「すっきりしたか?」

ティッシュをクルクルと丸めながら先輩は言うとその丸めたティッシュをポイッと投げてしまいました。

…あっ?!


「環境破壊ですよ、」

「だって汚ぇんだもん、お前の鼻水」


う…確かに汚いですけど、そうやって外に投げてしまうのは良くないですよ。本当に、


※ゴミはゴミ箱へ。



「すいません…です」

それでも先輩はまだ笑っていて、楽しそうに空を見上げていました。


そんな先輩の横顔を見てて…綺麗だなって。

素直に思いました。



もしかしたら先輩は悪魔なんかじゃないのかもしれないです。

なんて。


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