【中編】彼女様は甘い味。
すぐに結衣ちゃんがティッシュを何枚か出してあたしの鼻を拭いてくれて、
あたしはただボーっとしているだけ。
「とりあえず、ティッシュ詰めとくわよ?」
あたしの顔を覗き込んでそう聞いてきた結衣ちゃんに
コクン、縦に頷く。
「奏音、ごめんね…っ
何か奏音のこと見ると苛めたくなっちゃうんだよー」
…それは謝ってるのか?
恵の発言の意味がまったく分からないという表情の奏音。
「…いいですよ、
でも痛いことは止めて下さい、ね?」
ベッドに座っている恵ちゃんを見上げながらそう言う、
「良い子だ!
もう、まったく!!」
そのまま頭を撫でられる…、と言うよりは、
髪をグシャグシャにされる奏音。
「…もう奏音に触らないでっ」
尽かさず結衣は奏音の柔らかいハチミツ色の長い髪を整えていく。
「…結衣ちゃん、ありがとうです」
そうすれば優しい笑顔をあたしに向けてくれる。